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2025.03.26
アクセラ/イベント

やまと地域の社会課題を解決するスタートアップ企業4社のアウトカム報告会を開催しました

やまと地域(奈良県およびその周辺)の課題解決を目指す「やまと社会インパクトファンド」は、2025年3月25日、「やまとインパクト投資プログラム」で3ヶ月間の実証実験を経たスタートアップ4社が登壇するアウトカム報告会を奈良春日野国際フォーラム 甍~I・RA・KA~にて開催しました。

当日の様子が3月26日(水)に奈良テレビ放送にてご覧いただける予定です。

●「TVNニュース」12:55~13:00
●「ゆうドキッ」17:30~18:24(県内のニュースのコーナー内)

【やまとインパクト投資プログラムについて】

やまと地域(奈良県およびその周辺)の社会課題解決に資するプロダクト/サービスを有するスタートアップ企業が、やまと地域の課題解決に対する実証実験を行い、その実証結果をピッチするプログラムです。3ヶ月のプログラム期間中、やまと地域に精通したやまと社会インパクトファンドのキャピタリストが各社の実証実験の伴走支援を行います。
課題解決に有効なアウトカムを見出せる企業には最大5億円の投資枠を用意し、やまと地域の社会課題解決と持続的発展を目指します。

【登壇者・実証実験テーマ】

登壇者 実証実験テーマ
AMI株式会社 代表取締役CEO 小川晋平 奈良から救急搬送をなくす
株式会社ジャパンヘルスケア 代表取締役医師 岡部大地 奈良から全国に普及できる足健診やまとモデルづくり
ジオフラ株式会社 マネージャー 塩野雄平 カプセルトイ×観光で奈良の街を歩いて盛り上げる!
株式会社森未来 代表取締役 浅野純平 やまと地域における木材サプライチェーン革新プランの開発

【アウトカム報告会 審査員】

奈良県 地域創造部 大和平野中央構想・スタートアップ推進課参事 北風 繭子 氏
奈良市 観光経済部 産業政策課 課長補佐 金沢 香織 氏
株式会社ヒロホールディングス 代表取締役社長 向山 孝弘 氏
一般社団法人 社会変革推進財団 事業部インパクト・オフィサー 小笠原 由佳 氏
南都銀行 公務・地域共創部 プランマネージャー 川隅 裕司 氏
南都キャピタルパートナーズ株式会社 代表取締役社長 堺 敦行 氏

 

やまと地域の課題解決につながるアウトカム報告

AMI株式会社 小川晋平 「奈良から救急搬送をなくす」

AMI株式会社は、「奈良から救急搬送をなくす」ことを目指し、心疾患の早期発見につながる医療機器と遠隔医療システムを活用した「聴診DX」の実証実験を奈良県内で進めてきました。背景として、奈良県では、医師を含む医療資源の偏在により、二次救急病院への負担が増大しているという課題があります。

3ヶ月間の実証実験で小川さんは、奈良県内の病院や企業と連携し心疾患の可能性がある患者の早期発見につなげました。
審査員からは奈良県の病院導入時の課題について問われ、全く新しい取り組みであったため理解を得るのに苦労したものの、中核病院への働きかけを通じて徐々に賛同が広がったと説明しました。また、医療過疎地域への展開については、中核病院での認知拡大を基盤に、地域クリニックとの連携で広げていく方針を語りました。
今後も産学官金の連携を強化し、奈良県への導入を進めながら、課題解決に取り組んでいくと宣言されました。

株式会社ジャパンヘルスケア 岡部大地 「奈良から全国に普及できる足健診やまとモデルづくり」

やまと地域における「転倒・介護需要の増加」や「健康寿命の短さ」といった課題の解決に向け、足健診の実施やインソール等のソリューション提供を進めてきました。3ヶ月間の実証期間では、明日香村、田原本町、広陵町において足健診を実施し、重症者への早期介入を実現。これにより、医療・介護費の抑制につながる可能性を示しました。
取り組みには、奈良県立医科大学、畿央大学、奈良県理学療法士協会、明日香村診療所が賛同し、今後は8地域での足健診の実施に加え、就労世代の足の問題に関する研究を大学と共同で進める予定です。さらに、企業の従業員向けサービスをリリースし、企業向けのアプローチも強化していくことを計画しています。

最後に、今後も、やまと地域の健康課題の解決に向けた取り組みを継続し、さらなる展開を図っていくとの熱意が語られました。

ジオフラ株式会社 塩野雄平 「カプセルトイ×観光で奈良の街を歩いて盛り上げる!」

ジオフラ株式会社は、「人が動く楽しみをつくる」をミッションに掲げ、アプリ上でのポイ活と実際のイベントを組み合わせたサービスを提供しています。奈良県は全国的に観光客数が多いとされる一方で、一人当たりの観光消費額が全国平均を1,500円下回るという課題があります。
この課題の解決に向け、ジオフラ株式会社は、奈良市の「ならまち」エリアを周遊すると鹿の顔のキーホルダーのカプセルトイが楽しめるという仕組みを発案し、観光消費額の向上を目指して実証実験を実施しました。奈良市・奈良県の後援を受け、17の協力店舗と連携し、地域一体となって取り組みました。

2週間のイベント期間で200名超が参加し、周遊による観光消費額の増加に貢献したこと、また、参加者の8割以上が、当初「ならまち」を訪れる予定がなかった層であり、新たな奈良の魅力を発見し、楽しむきっかけとなったことが報告されました。

今後はインバウンド需要の取り込みに向け、引き続き奈良県での取り組みを継続していく方針とのことです。

株式会社森未来 浅野純平 「やまと地域における木材サプライチェーン革新プランの開発」

奈良県の林業では、建築のサプライチェーン構造の中で、上流にあたる山主や素材生産者に十分な利益が残らないという課題があります。株式会社森未来は、この状況を改善し、利益が適正に分配される「林業のフェアトレード」を実現することを目指しています。
その一環として、ロンドン在住のデザイナーを林業現場に招き、木材の樹齢・産地・育て主といったストーリーを伝える取り組みを開始しました。さらに、木材のモジュールを組み合わせ、オリジナルのデザインテーブルやベンチを制作する計画も進行中です。
また、吉野杉を使用した家具の提案や奈良県の木材事業者との連携など、県産木材の魅力発信に取り組んでいることが報告されました。

今後も、林業の価値向上と適正な利益分配を目指し、持続可能な取り組みを推進していくことが語られました。

やまと地域へのアウトカムが評価され各社が受賞

最も優れた取り組みを実施した企業に贈られる【最優秀賞】:ジオフラ株式会社
印象的な活躍をした企業に贈られる【香具山賞】:株式会社ジャパンヘルスケア
優れたソリューションやプロダクトを持つ企業に贈られる【耳成山賞】:AMI株式会社
やまと地域へ情熱を持って課題解決に取り組んだ企業に贈られる【畝傍山賞】:株式会社森未来

審査員からは、「今後も共に課題解決に取り組んでいきたい」との声が多く寄せられ、企業・大学・自治体が一体となって進めていく強い決意が感じられる会でした。3ヶ月という短期間での取り組みのスピード感に驚くとともに、実証実験の成果にとどまらず、今後も継続的に取り組みを推進していくことへの期待が述べられました。

今後のさらなる発展に注目が集まります。